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公開日:2023.10.11
更新日:2023.10.11

商標登録されている言葉の使用はご法度?初めてでもわかる「商標の使用」

商標登録されている言葉を他人が許可なく使用するのは絶対にダメなのでしょうか?この記事では、登録された商標をどのように使用することが商標権の侵害になるのか解説します。

 

1.商標登録されている言葉の使用=商標権の侵害とは限らない

「“○○”という言葉は商標登録されているので、使用すると商標権の侵害になる」などと聞いたことがありませんか?いうまでもなく、登録商標を他人が使用することは商標権を侵害することに繋がります。しかし結論を先に言ってしまうと、商標登録されている言葉を使用したからといって、必ず商標権を侵害したことになるとは限りません。その理由を以下に順を追って詳しく説明します。

 

1-1.登録商標とは

日本において登録商標とは、<言葉や図形(標章)標章を使用する対象の商品やサービス>の組み合わせであって、特許庁において登録されたものをいいます。言葉や図形(標章)のみを単体で登録することはできず、必ず商品やサービスを指定する必要があります。

この“サービス”は商標法上、“役務”といいます。

商品や役務は便宜上、第1類~第45類の区分に分けられており、第1類~第34類が商品、第35類~第45類が役務となっています(20239月現在)。

(登録商標の例)

➀第XXXXXXX
②『オオシマファクトリーデザイン』
③第8類「フォーク」

上記の登録商標の場合、
➀→登録番号、②→標章、③→第8類が「指定区分」、「フォーク」が「指定商品」となります。

なお、最新の出願商標や登録商標は独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)が提供する「J-Plat Pat」で確認することができます。

 

1-2.登録商標の効力はどこまでなのか

登録商標の効力は、同一の範囲だけでなく、類似の範囲も含みます。上記の例の商標に関していうと、他人が②の『オオシマファクトリーデザイン』という言葉を、③の「フォーク」に使用することは出来ないことはもちろんですが、「フォーク」に類似する商品や役務について使用することもできません。

例えば、第8類「フォーク」に類似するとされる商品や役務として、第21類の「はし(箸)」や、第35類の台所用品等に関する小売業(例えば、「台所用品・清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」)等があります。

このような類似する商品や役務は登録商標の本来の権利「専用権」といいます。上記の例だと「フォーク」)ではないため商標権者の積極的な使用は認められていませんが、他人の使用を防止することができる権利「禁止権」といいます。上記の例だと、「はし(箸)」や台所用品等に関する小売業)となっています。なお、このように商品と役務が相互に類似することがあります。

また、②の『オオシマファクトリーデザイン』という標章に関しても、同一のものだけでなく、一見して『オオシマファクトリーデザイン』と読めてしまうような可読性が高いロゴや、『おおしまふぁくとりーでざいん』等、表記を平仮名やアルファベットに相互に変換したものについても、同一の称呼が生じる場合には類似の範囲である可能性が高くなります。

このように、商標では登録された範囲のみならず、類似する範囲までが登録商標の効力が及ぶ範囲=他人に権利行使できる範囲となります。表にまとめると以下のようになります。

もうお気づきだと思いますが、他人が『オオシマファクトリーデザイン』という言葉やこれに類似するような言葉を使用してはいけないのは、「フォーク」やこれに類似する商品または役務のみです。

したがって、『オオシマファクトリーデザイン』が登録商標であっても、指定商品である「フォーク」には全く類似しない商品や役務(例えば、商品「テレビ」や商品「ノート」)に標章『オオシマファクトリーデザイン』(またはこれに類似する標章)を使用しても商標権の侵害にはなりません。

1-3.登録商標の「使用」の具体例とは?

では、商品や役務に対するどのような使用が商標法でいう「使用」になるのでしょうか?以下に例を挙げていきます。

 [商品について]

(1)商品(商品の包装)に標章を付すること

例えば、上記の『オオシマファクトリーデザイン』の例だと、商品であるフォークそのものやフォークのパッケージに標章『オオシマファクトリーデザイン』を表示する行為がこれに当たります。

(2)商品(商品の包装)に標章を付したものを販売等すること

同様に、標章『オオシマファクトリーデザイン』が表示されたフォークを販売したり、輸入したりする行為がこれに当たります。

 

[役務について]

(3)役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物等に標章を付する行為

例えば、レストランでお客さんに料理を提供するときに使用するお皿に標章を表示する行為がこれに当たります。

(4)役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為

例えば、レストランで標章が表示されたお皿に料理を盛り付けてお客さんに提供する行為がこれに当たります。

(5)役務の提供の用に供する物等に標章を付したものを役務の提供のために展示する行為

例えば、レストランで標章を付したお皿を飾る行為がこれに当たります。

(6)役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該役務の提供に係る物に標章を付する行為

例えば、自動車の修理を行う者が、修理したお客さんの自動車に標章が表示されたステッカーを貼る行為がこれに当たります。

(7)電磁的方法等により行う映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に標章を表示して役務を提供する行為

例えば、銀行のATMの画面に銀行の標章を表示しておく行為がこれに当たります。

(8)商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為

例えば、宣伝用のチラシに標章を付して配布する行為がこれに当たります。

(9)音の標章にあっては、前各号に掲げるもののほか、商品の譲渡若しくは引渡し又は役務の提供のために音の標章を発する行為

例えば、食品メーカーが音の商標を録音したテープをスーパーマーケットの売り場で再生し、お客さんに聞かせる行為がこれに当たります。

 

2.まとめ

ここまで読んでいただきありがとうございます。今回の記事をまとめると、以下のようになります。

  • 登録商標の使用とは、指定商品や指定役務(またはこれに類似する商品や役務)について登録された標章(またはこれに類似する標章)を使用することをいい、そうでない場合は侵害にはならない
  • 商標権は類似の範囲まで他人の使用に対して権利行使ができる

商標の使用についての判断は難しいことが多くあります。ご不明な点があれば、お気軽に弁理士にご相談ください。相談はこちら

弁理士 由利 尚美

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