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公開日:2026.06.08
更新日:2026.06.08

商標権と著作権の違いとは?どちらで保護すべき?

「ロゴマークやキャラクターの図柄を保護したい」と考えたときに思い浮かぶものとして、商標権と著作権があります。では、商標権と著作権とでは、どのような違いがあるのでしょうか。本記事では、商標権と著作権の違いについて解説していきます。

1.商標権と著作権について

商標権と著作権は、いずれも知的財産権に属します。商標権は商標法によって保護され、著作権は著作権法によって保護されます。以下で、それぞれの違いについて詳しくみていきましょう。

1-1.商標権とは

商標権とは、自己の商品やサービスを他人の商品やサービスと識別できるようにする標識(マーク)に付与される権利のことをいいます。商標法上の商標とは、例えば、「このマークが付いているから、これはA社の商品」「このマークが表示されているから、このサービスの提供元はB社」ということを認識できるものをいいます。
2026年現在、商標法上の商標には、文字、図形、立体的形状、音、色彩、ホログラム、動く図形や絵柄、特定の位置に使用する文字や図形・絵柄等が含まれます。
商標権として登録を受けることにより、当該商標と同一の商標だけではなく、当該商標と類似の商標まで保護されます。具体的には、登録を受けた商標と同一または類似の商標の、登録を受けた商品またはサービスと同一または類似の商品またはサービスについて、他人による使用等の侵害行為を防ぐことができます。また、商標権者は、当該商標権の侵害行為を行う他人に対して、商標権に基づく権利行使(例えば、商標使用の差止請求や損害賠償請求等)を行うことができます。

商標権の保護期間は、登録された日から5年間または10年間です。しかしながら、この保護期間は何度でも更新することが可能であるため、更新を繰り返すことにより、商標権を半永久的に保護することが可能です。

1-2.著作権とは

著作権とは、著作物を創作した者(著作者)に付与される、著作物を保護するための権利です。著作物とは、思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するものをいいます。
著作権が発生すると、他人による当該著作物をコピーすること(複製権)、上演・演奏すること(上演権・演奏権)、上映すること(上映権)、インターネットなどを通じて公に送信すること(公衆送信権等)、公に読み聞かせること(口述権)、展示すること(展示権)、頒布すること(頒布権)、譲渡すること(譲渡権)、貸与すること(貸与権)、翻訳や脚色をして二次著作物を創作することやその利用(翻訳権・翻案権・二次的著作物の利用権)等の侵害行為を防ぐことができます。

また、著作者は、著作者の人格的な利益を保護するための著作者人格権も有しています。著作者人格権には、著作物の公表タイミングや方法を決めることができる権利(公表権)や、著作者名を表示するかどうか(またはどのように表示するか)を決める権利(氏名表示権)、著作物を他人によって勝手に改変されないための権利(同一性保持権)があります。
また、著作者は、当該著作権の侵害行為を行う他人に対して、著作権及び著作者人格権に基づく権利行使(例えば、著作物利用の差止請求や損害賠償請求等)を行うことができます。

著作権の保護期間は、一部例外がありますが、原則として、著作者の死後70年です。

 

2.どちらで保護すべき?

以上の説明からわかるように、小説や映画、音楽、美術品などの創作物は、「このマークが付いているから、これはA社の商品」というような識別標識ではないため、商標権ではなく、著作権によって保護されるものであることが理解できるかと思います。
では、ロゴマークやキャラクターの図柄はどちらで保護すべきなのでしょうか。実は、ロゴマークやキャラクターの図柄は、商標権と著作権の両方で保護される可能性があります。
一方、商標権と著作権とでは、権利が発生するための手続きや要件が大きく異なりますので、その違いについて以下でみていきましょう。

2-1.保護のために必要な手続き

(1)商標権の場合

商標権の発生には、特許庁に所定の書類を提出し、特許庁の審査をクリアした後、登録を受ける必要があります。商標の審査では、登録を受けたい商標が一般的に使用されていないものであることや、他人の登録商標に類似していないことなどの登録要件についてチェックがなされます。
そのような登録要件を満たしていない場合には、拒絶理由通知が送付されます。拒絶理由通知には、反論や補正を行うことによって対応することができます。一方、登録要件を満たしている場合には、登録査定が送付され、その後、登録料を納付することにより、登録となります。
これらの手続きには、所定の費用(特許庁印紙代)が掛かります。また、弁理士などの専門家に手続を依頼する場合には、弁理士等に支払う費用もかかります。

(2)著作権の場合

著作権(及び著作者人格権)の発生には、特別な手続きは必要ありません。著作権法では、その発生に法律上の手続きを必要としない無方式主義を採用しており、著作物が創作された時点で自動的に発生します。

2-2.権利行使のために必要な要件

(1)商標権の場合

商標権の場合、他人が登録商標と同一または類似の商標を、同一または類似の範囲(登録した商品やサービス)に使用していれば、権利行使することができます。商標権は独占排他的な権利であり、たとえ当該他人が意図的に真似たなどの悪意がなくても行使することができます。したがって、保有していれば強力な権利となります。

(2)著作権の場合

著作権の場合、権利行使を行うためにはいくつかの厳しい要件があります。
第1に、創作物が著作物であることが必要です。著作物であるというためには、上述したように、「創作者の思想または感情を表現したもの」であることが必要です。思想または感情には、アイデアやデータ、事実そのものは含まれません。また、創作的であることが必要です。したがって、創作者の個性を表したものであることを要しますので、ありふれた表現などは創作的とはいえません。また、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属しないものは著作物に含まれません。
第2に、著作権の保護期間内であることが必要です。上述したように、原則として、著作者の死後70年を過ぎたものについて著作権は認められません。
第3に、当該侵害と思われる行為が、著作物に依拠したものであることが必要です。ここでの依拠とは、当該他人が、その著作物の存在を認識したうえで、当該著作物を利用したことや、当該創作物を参考に新たな創作物を創作等したことが必要となります。例えば、一見似ている絵画であっても、当該他人が、当該著作物の存在を知らずに、オリジナルで創作した場合には、著作権侵害は成立しません。

2-3.商標権と著作権とを比べてみると

商標権と著作権とは、上述したように、発生や権利行使の面において大きな差があります。イメージとしては、“登録は面倒だけど権利行使が簡単な商標権”に対して、“手続きなしで発生するけど権利行使が難しい著作権”というところでしょうか。

ここで、上述した権利行使の手続きの点からいうと、当初掲げた「ロゴマークやキャラクターの図柄はどちらで保護すべきか」という問いに対しては、「商標権によって保護すべき」と回答したいと思います。
上述したように、著作権では、保護したいロゴマークやキャラクターの図柄が著作物であると判断されないリスクや、他人が侵害行為を行った時に、著作物に依拠して創作されたものであることを立証することの難しさなどがあるためです。
また、商標権の場合には、同一の商標のみならず類似の商標にまで権利が及ぶので、ライバルによる類似商標の使用を予防するという点においても有効です。

 

3.終わりに

商標権と著作権の違いについて説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。そもそも、商標権と著作権とでは、今回の「ロゴマークやキャラクターの図柄」のように、一部保護の対象が重複することがあるものの、基本的には保護の対象は異なっています。したがって、まずは、保護を希望する対象が、商標権と著作権のどちらによって保護すべきものであるかを見極める必要もあります。
弊所では、商標権及び著作権のいずれについてもアドバイスを行っておりますので、お気軽にご相談ください。

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弁理士 由利 尚美

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