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公開日:2023.04.28
更新日:2023.04.28

特許とは

特許とは

 「特許」について、みなさんはどの程度理解できているでしょうか。多くの方は、「特許」がどのようなものか概ね想像できると思いますが、明確に説明できる人は意外と少ないかもしれません。

 ここでは、「特許」の概要について説明していきます。

 「特許」とは、特許法に定められた発明をした者またはその承継人に対し、発明を公表する代償として国が特許権を付与する行為のことです。また、特許権を付与することによって発明を保護する制度を特許制度と言い、それを定めているのが特許法です。特許法は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もって産業の発達に寄与することを目的として制定されています(特許法第1条)。

 それでは、発明や特許権とはどのようなもので、それらの関係はどうなっているのでしょうか。

発明とは

 特許法において「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものと定められています(特許法第2条第1項)。

 発明は自然法則を利用したものであるため、それを利用しない人為的な取り決めや、フォークボールの投げ方といった技量や熟練を伴うものは発明には該当しません。なお、「自然法則」とは、自然界において経験的に見出される法則をいい、〇〇の法則のような名前がなくても、例えば、水は加熱すると沸騰するといった経験則で足ります。

 また、発明は自然法則を利用したものであるため、反復的に一定の効果を得られる必要があります。つまり、誤った認識に基づいているために反復的な効果を得られない場合には、自然法則を利用しておらず、発明に該当しないことになります。

 ただし、反復的な効果は、100%であることを必要とするものでありません。有名な御木本幸吉の養殖真珠法の発明における最初の成功率はわずか1~2%程度であったと言われています。開拓的な基本発明においては、反復的な効果の確率が低いことも多いですが、確率が低くとも反復実施可能性は認められます。

 発明は技術的思想の創作であるため、目に見えない技術的な体系的考え(アイデア)を対象としています。技術的なアイデアは、抽象的な観念又は概念であり、抽象的であってよいですが、課題を解決する発明の具体的な手段を提供するものである必要があります。

 発明は技術的思想の創作であるため、自らが創作したアイデアである必要があります。アイデアが自ら創作したものであれば、それが客観的に新しくなくても(後に説明する新規性がなくても)発明に該当します。

 発明は技術的思想の創作のうち高度のものであるため、程度の低いものは発明から除かれます。ただし、高度か低度かの基準は明確には定められていません。この規定は、同じく自然法則を利用した技術的思想の創作を保護対象とする実用新案法上の考案との関係から、考案のうち技術水準の低い部分は包含しないという趣旨で設けられており、後述する進歩性よりも低い程度で足ります。

発明の種類

 なお、発明には、物の発明、方法の発明、物を生産する方法の発明という3つのカテゴリがあります。例えば、プログラムは物の発明に分類されています。

 これらのカテゴリの発明では特質が互いに異なるため、特許法では、発明の実施にあたる行為がカテゴリごとに具体的に規定されています(特許法第2条第3項)。

 物の発明については、その物の生産、使用、譲渡等、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為が発明の実施になります。プログラムの発明については電気通信回線を通じた提供が譲渡等に含まれます。

 方法の発明については、その方法の使用をする行為が発明の実施になります。

 物を生産する方法の発明については、その方法の使用、その方法により生産した物の使用、譲渡等、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為が発明の実施になります。

 このように物を生産する方法の発明については、その方法の使用だけでなく、その方法により生産した物に対する行為も発明の実施になる点に注意が必要です。例えば、他人の特許発明を使用して特許権侵害者が生産した物を譲り受け、これを譲渡する行為は、他人の特許権を侵害することになります。

発明と特許権との関係

 上記のように発明は技術的なアイデアであり、発明が完成すると、特許を受ける権利が自然人である発明者に帰属します。

 特許権を取得するためには、特許を受ける権利を有する者又はその承継人は国(具体的には特許庁)に対して特許出願を行う必要があります。

 国が特許出願に対して特許権の設定を登録することにより、特許権が発生します(特許法第66条第1項)。

特許権とは

 特許権とは、特許を受けた発明を独占的に実施し、他人の実施を排除することができる独占排他権です。特許法は、新規な発明を公表する代償として一定期間、特許権を付与し、これにより発明の保護を図っています。

 特許権を有する者、すなわち特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有します(特許法第68条)。

 したがって、正当な権利のない第三者が業として特許発明を実施した場合、当該行為は特許権の侵害となり、特許権者は特許権侵害者に対して差止請求、損害賠償請求などの手続きを執り、他人の実施を排除することができます。

 なお、「特許を持っている」という言い方を耳にすることがあるかもしれません。この言い方でも、特許権を意味していることが理解できますが、「特許権を持っている」や、「特許を受けた」という表現がより適切ですので、そちらを使った方がよいでしょう。

特許権の効力

 上記のように特許権は一定期間存続し得る権利であり、この一定期間(原則的には出願から20年、特許法第67条)が過ぎると特許権は消滅し、効力もなくなります。

 特許権は上記のように業として特許発明を実施する権利であり、「業として」は広く「事業として」を意味します。したがって、事業としてではなく特許発明を実施する行為、具体的には、個人的、家庭的使用のためにする特許発明の実施には、特許権の効力は及びません。一方、営利目的ではなく、無償であったとしても、例えば、多数の友人のためにする特許発明の実施は「業として」に該当し、特許権の侵害になります。

 また、試験又は研究のためにする特許発明の実施する行為などにも、特許権の効力は及びません(特許法第69条)。

 特許権は、国(具体的には特許庁)が特許出願に対して付与する権利であり、その効力は日本国内に限られます。法の効力範囲はその法が制定された領域内にのみ認められるとする属地主義の原則によります。

 上記のように特許権は、特許発明を独占的に実施することができる権利ですが、専用実施権を設定した場合には、設定した範囲内で特許権者自身の実施も制限されます(特許法第77条第2項)。

まとめ

 このように特許権は発明に対して付与される独占排他権であり、技術的なアイデアに特許権が付与されると、第三者は権限なく特許発明を実施できなくなります。そのため、特許法には、創作したアイデアが特許を受けるための様々な要件(特許要件)が定められています。創作した技術的なアイデアの特許の是非については特許事務所に相談されることをお勧めします。

 特許が認められるための要件については別のコラムに掲載します。気になる方はそちらもご覧ください。コラム「特許が認められるためには

弁理士 立川 幸男

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